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④しんよんひ 死をみつめる

作品中、いくつか気になる作品がありました。しんさん、体調芳しくなく、精神的にも参っていた時期があったそうです。病いも死も、生きものであるい以上は避けられない。


「受け入れよう。でも、やり切れない想いが残る。死にゆくもののために、音楽を聞かせてほしい、涙を流してほしい…」、そんな気持ちを表現したのは、珍しく色彩鮮やかな作品「受け入れる」だそう。


また、「サニタリウム」は尹東柱(ユン・ドンジュ)の詩にインスパイアされたとのこと。その詩をご紹介しますね。


死をみつめることは、生きることを見つめることになるのでしょう。

「病院」

       尹東柱(ユン・ドンジュ)


杏(あんず)の木陰で顔を遮り、病院の裏庭に横たわって、若い女が白衣の裾から白い脚をのぞかせ日光浴をしている。半日すぎても 胸を病むというこの女を訪ね来る者、蝶一匹もいない。悲しみもない杏の梢には風さえない。


わたしもゆえ知らぬ痛みに久しく堪えて 初めてここへ訪ねてきた。だが老いた医者は若者の病いを知らない。私に病いはないと言う。この堪えがたい試練、この堪えがたい疲労、私は腹を立ててはならない。


女はつと起(た)って襟をただし 花壇から金盞花(きんせんか)を一輪手折って胸に挿し 病室へ消えた。私はその女の健康が―いやわが健康もまたすみやかに回復することを希いつつ 女の横たわっていた場所(ところ)に横たわってみる。